鹿児島大学×SDGs事例集
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Ⅰ.自然環境の変化への対応Ⅱ.グローカルな人材の育成Ⅲ.医療と健康Ⅳ.エネルギーの確保・創出Ⅴ.イノベーションの創出Ⅵ.まちづくりと経済成長の支援Ⅶ.共生社会の実現のために農学部 農業生産科学科 応用植物科学コース 作物学研究室 准教授 下田代智英shimotas@agri.kagoshima-u.ac.jp農業は食糧生産を担い、地方を支える主力産業であり、国土の保全や環境負荷の低減など多面的な機能を持つ。しかしながら、農業従事者は高齢化が進み、新たな担い手は少なく、労働力不足が深刻化している。また、依然として熟練者による手作業や勘に頼る部分が多く技術継承が難しい。こうした問題を解決するために、農作業の軽労化・自動化・省力化を実現する技術や生育診断の栽培支援技術開発が求められている。活動の背景・目的▼備考スマート農業に対応したサツマイモ栽培技術鹿児島県の基幹作物であるサツマイモについて、スマート農業に対応する栽培技術を研究している。サツマイモをロボット農機で栽培可能にするための節苗栽培法(特許)や画像生育診断などを開発しており、これらはサツマイモ生産の高度化、生産性の向上を実現するキーテクノロジーである。これらの成果の一部は、農水省公募スマート農業実証プロジェクト(JA鹿児島きもつきとの共同プロジェクト)で実証試験が開始されている。●活動の概要ロボット・AI・IoTの活用により新規就農者の確保・育成ならびに農業の成長産業化を推進し、持続可能な地域を実現する。国内での食糧の安定供給により国内農産物の持続可能な消費と世界における食糧の公平な分配、さらにはフードマイレージの短縮により環境負荷の低減にも寄与する。期待される効果農学部 農業生産学科 食料農業経済学コース 農業市場学研究室 教授 豊智行E_mail yutaka@agri.kagoshima-u.ac.jp農業所得の向上は農業発展を促す。また、農業関係者の主要な目標となっている。本研究では、農産物生産からの所得を構成する諸要素がその所得成長にどれだけ貢献しているのかということを定量的に解明する手法を構築した。各種必要に応じて特定された生産地域・作物を対象として本手法を適用し、結果の導出とそれに基づく所得成長への重点課題の考察を行い、所得成長への実践に資することを目的としている。本手法の特徴としては、特定された生産地域・作物の平均的個別経営体の所得成長の速度への要素寄与を多角的に把握する点、解析に必要な情報として農林水産省『農業経営統計調査』の公表データまたはオーダーメイドデータを積極的に活用する点が挙げられる。これまでに教員と学生が共同で様々な生産地域・作物の解析を行ってきた。そのうち、鹿児島県における原料用かんしょの場合、所得成長への重要な要素は、労働力の投下時間と単収であることを明らかにした。より詳しい解析成果をJA鹿児島きもつき管内の農業関係者に報告し、今後のあり方について意見交換を行った。活動の背景・目的適切な方策に基づく農業の推進と農業所得の向上は、農業地域の持続可能な経済成長に貢献するであろう。本研究から得られる成果は、農業における所得成長への具体的方策の策定に有効な基礎情報でありたいと考えている。▼備考 リライト変更箇所について農産物生産の所得成長への課題と方向性の解析●活動の概要期待される効果62

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