奄美大島産シルク及び遺伝子改変シルクを用いた医薬品・医薬部外品の開発

皮膚科学分野
金蔵 拓郎

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活動の背景・目的


奄美大島に本社を置く株式会社アーダンは奄美大島産のシルクを素材とする化粧品を開発・製造・販売する会社です。医歯学総合研究科皮膚科学分野はシルクの皮膚に対する効果について(株)アーダンと共同研究を進めてきました。シルクはフィブロインとセリシンの二種類のタンパク質より成ります。これまでの研究でフィブロインを含む加水分解シルクには皮膚の創傷治癒を促進する効果、セリシンには褥瘡などの創傷面に細菌によって形成されるバイオフィルムを阻害する効果があることを解明しました。さらに遺伝子改変シルクはより優れた効果を発揮することも明らかにしました。これらの成果をもとにシルクを素材とした医薬品・医薬部外品の開発を目的として研究を進めています。

活動の背景・目的

活動の概要

シルクは永年外科縫合糸として使用されてきました。これはシルクが生体適合性、生分解性、力学的特性に優れていることを示しています。「活動の背景・目的」蘭に記載した効果と合わせてシルク及び遺伝子改変シルクは医薬品や再生医療素材として期待されます。今後はシルク素材の創傷被覆材、創傷治療薬、再生医療用素材の開発を進めます。またシルクは紫外線を遮る効果もありサンスクリーン剤(日焼け止め)として応用できる可能性があります。従来の日焼け止めクリームには海洋汚染物質が成分として含まれているものもあり、世界各地の海洋観光地でサンゴ礁等への悪影響が指摘されています。シルクは天然素材であり海洋環境への影響がなくサンゴなどの海洋資源の保護に役立つと考えられ、シルク素材のサンスクリーン剤の開発も進めます。

期待される効果

・新規医薬品の開発(インフラ・産業化・イノベーション)
・天然素材を使用することによる製造過程におけるCO2の削減
・奄美大島を中心とした新規雇用の創出

備考

共同研究で開発された外用薬(医薬部外品)「シルケイド」が令和5年度の「かごしま産業技術賞大賞」を受賞しました。