入浴死警戒情報の発令

社会・行動医学講座、法医学分野

https://www3.kufm.kagoshima-u.ac.jp/legalmed/
  • SDGs目標03
  • SDGs目標11

活動の背景・目的


 温かい部屋から寒い脱衣所を経て、熱い浴槽内に入ることで血圧が乱高下し、脳卒中・虚血性心疾患・致死性不整脈等が発症して死亡するか、もしくは意識を消失して水没、溺死してしまうことを浴室内突然死(入浴死)と呼びます。日本は諸外国に比べて入浴死が圧倒的に多く発生しており、鹿児島は国内でも発生率が高い傾向にあります。入浴死者数は交通事故死者数の2.5倍以上に及ぶと推計されており、高齢社会を背景に増加傾向にある入浴死は社会問題となっています。
 発症病態は未だ解明されていませんが、入浴死はpreventable deathと呼ばれる、防ぐことのできる死です。鹿児島から始まる入浴死予防の取り組みを全国に展開し、日本全体の入浴死減少に繋がる活動を実施しています。

活動の背景・目的

活動の概要

 医歯学総合研究科 法医学分野では、2006年~2019年に鹿児島県で発生した入浴死検視全2689例の内、発生(死亡)日が特定できた2157例に対し、発生した日の環境気温(最高気温、最低気温、平均気温、日内気温差(最高気温と最低気温の差))を調査・統計解析を行い、入浴死が有意に発生しやすい環境気温を特定しました。得られた結果を県民の皆様に還元するために、天気予報のように分野ホームページやテレビ、新聞で入浴時警戒情報として「危険・警戒・注意」の3指標を発令しています。

期待される効果

この取り組みにより、入浴死者数が大幅に減る可能性があります。また、この検証は鹿児島だけでなく日本全国で実施可能であるため、まさに鹿児島から全国へ広げていける取り組みであるといえます。わたしたちの活動が、「すべての人が、安心して住み続けられるまちづくり」の糸口となることが期待されます。