クリーン再生水を用いた礫耕栽培によるカリウム低減作物の作出

食糧生命科学科 食環境制御科学コース 渡部由香、樗木直也、赤木功

k6734357@kadai.jp(渡部由香)
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活動の背景・目的


慢性腎臓病(CKD)の患者は日本において約1,300万人、透析患者が33万人を超えているが、病気のステージが進んだ患者はカリウム摂取の制限が必要で、カリウム含量の低い食材が求められている。本活動は、主に家庭からの排水を活性汚泥法で処理し消毒したクリーン再生水を活用し、安心、安全なカリウム低減野菜を栽培してCKD患者に提供することを目指している。

活動の背景・目的
クリーン再生水を用いた礫耕栽培によるカリウム低減作物の作出

活動の概要

鹿児島市南部処理場(下水処理場)敷地内に栽培設備をつくり、様々な作物のカリウム低減を試みるとともに得られた作物の品質(カリウム低減度、栄養価、機能性の付加)の評価を行う。本栽培法の成果を学会、研究会で発表するとともに、様々な機会を捉えて市民に広く紹介し、カリウム低減作物の栽培に関する技術移転や、事業化を行えるよう産学官体制の構築を目指す。

期待される効果

1.安価で安全なカリウム低減野菜を供給することによりCKD患者の生活の質を向上させ、社会参加を促進させることができる。
2.下水道資源を資源循環型社会に役立てる試みがなされている中で、再生水(下水処理水)を利用することで、環境負荷低減型の都市型農法で貢献することができる。
3.栽培に使用した再生水は環境に放出するが、再生水に含まれていた窒素やリンなどの一部は植物に吸収されることから、海洋汚染の低減につながる。
4,ほぼ半永久的に維持しなければならない下水処理施設という社会インフラから排出される下水処理水を再利用する仕組みは、持続可能な資源循環型社会の構築につながる。

関連サイト

▶ 鹿大ジャーナル214号、p14~15