沿岸生物観察会

国際島嶼教育研究センター奄美分室 吉川晟弘

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活動の背景・目的


2015年に開設された奄美分室では地元の方々に奄美の自然の理解をより一層深めるために様々な活動を行ってきている。この活動は奄美の海の資源の多様性などを地元の方々に紹介することを目的としている。

活動の背景・目的
2024年3月10日(日)に開催された「海の自由研究 in 奄美大島」でのサンゴ礁での生物採集風景。

活動の概要

2015年度以降、さまざまな活動をしてきたが、今年度は以下の活動を実施した。奄美大島に暮らす海の生物の多様性を地域の方々へ伝えるために「サンゴ礁のいきもの観察会」を実施した。この観察会は公益財団法人日本自然保護協会(以下、日本自然保護協会)とともに開催した。観察会の当日には、私が研究の対象としている海の底生動物についての解説を行い、研究員のこれまでの研究成果なども紹介した。観察会では、実際に海に出る前に、スタッフにより磯およびサンゴ礁を観察する際に注意すべき点や毒を持つ生物を見つけた際の対処法が説明された。その後、スタッフらが参加者を海岸へと誘導し、当センターが準備した採集具を用いて様々な動物を採集した。造礁性サンゴ類やシャコガイ類などの採集が困難な底生動物については、現地にて中野恵氏(日本自然保護協会)の指導のもとで観察した。
採集された動物を屋内に持ち帰り、図鑑を用いて種の名前を調べた。スタッフらは、採集された種およびその個体数を記録し、今後の生物相変遷を把握するためのデータとして蓄積した。観察会の終盤には、私が各動物の進化過程や特有の行動に関する知見を紹介し、参加者の海に暮らす動物の基礎的な生態の理解を深める手助けをした。その後、参加者全員で採集した全ての動物を海に返し、観察会を終了した。

期待される効果

本観察会に参加することで、一般の人たちは身近な生き物の種多様性を知ることができる。現代の海に暮らす生物種数を把握していれば、今後の環境変化などによる経年的な種数の減少や、構成種の変化にも容易に気づくことが可能となる。今後、SDGsにおけるGoal14「海の豊かさを守ろう」の達成に向けた政策を打ち出し、それに対し多くの人たちから支持を受けるためにも、市民が種多様性の重要性と変化に意識を向けていることは重要である。本観察会は、海洋生物の多様性への理解を深める一助となる。

関連サイト

▶ 新聞記事 ▶ http://cpi.kagoshima-u.ac.jp/AmamiStation/