母子の健康に影響を及ぼす環境要因に関する疫学研究

大学院医歯学総合研究科 健康科学専攻 疫学・予防医学分野 教授 郡山千早

https://www2.kufm.kagoshima-u.ac.jp/field/health-research/f001/04.html
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活動の背景・目的


近年、急速に工業化・経済発展を遂げつつある新興国では、排ガスや環境汚染物質を規制する法律・制度があるものの、実質的に追いついていないの現状であり、インドネシアも例外ではない。農村部でも伝統的な野焼きによる浮遊粒子物質濃度の上昇、農薬使用量の増大など、解決すべき課題が多く、大気汚染・水質汚濁・土壌汚染など多くの環境負荷が生じている。とくに妊婦や胎児、小児は環境要因の影響を大きく受けることから、健康への影響が懸念される。

活動の概要

2018年よりインドネシアのスマラン市とジェパラ市において、妊婦を対象とした疫学調査を実施しており、同国のDiponegoro大学医学部(鹿児島大学と学術交流協定を締結している)の研究チームと共同で進めているものである。対象者には生活習慣や病歴、出産経験などを含む質問調査を行うとともに、血液や毛髪などの生体試料の収集にも協力してもらっている。生体試料を用いて水銀を含む重金属などへの濃度を評価し、子への影響(出生時の体重、体長、週数など)やその後の発育発達との関連を検討する計画である。現在、Diponegoro大学よりBakri医師が国費留学生として来日しており、国立水俣病総合研究センターと連携して水銀分析およびデータ解析などを行っている。

活動の概要

期待される効果

この疫学調査の結果を社会へ還元するとともに、妊娠中の女性や母親への食・環境・健康に関する情報提供を行うことを目指す。そして、自分自身と子どもたちの健康を守り、生きる力を身に着けることの重要性を理解し、行動につながるきっかけとなることを期待している。

関連サイト

▶ 大学院医歯学総合研究科ホームページ(研究室紹介)