家庭用テレビを用いたビデオ通話システムの実用化に向けた取り組み -要介護高齢者のオンラインコミュニケーションと双方向レクリエーションの実践-

医学部 保健学科 作業療法学専攻 基礎作業療法学講座 助教 吉満孝二

yoshimitsu@health.nop.kagoshima-u.ac.jp
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活動の背景・目的


●認知症高齢者は一般的にIT(情報技術)に弱く、デジタル機器を用いた通信が主流の現代では家族や知人との交流もままならない。デジタル機器を用いた通信が主流の現代ではデジタルデバイド(情報格差)解消に取り組む必要がある。
●新型コロナウイルス感染拡大で、要介護高齢者は介護サービスの利用機会はもとより、家族との面会の機会すら失った。感染症有事に備え、オンラインではげましや安否確認、健康管理や日常生活の見守りができる体制の構築を目指す。
●高齢者がいる世帯のうち約6割が高齢夫婦のみ世帯と一人暮らし世帯で、この割合は年々増加傾向にある。私たちは高齢者が社会から孤立しないよう、孤独な死を迎えないように対策しなければならない。

活動の概要

私たちは、何らかの支援を必要としている在宅認知症高齢者や今後必要とされるであろう在宅高齢者を対象に、企業、専門職団体、施設と連携し介護ロボットを開発し、鹿児島県社会福祉協議会と連携し、相談窓口を設置し、介護ロボットの普及に取り組んでいる。現在は在宅高齢者の安心安全な在宅生活を支援するために、スマホやタブレットの画面をワンタップするだけで簡単に見守りができるアプリや家庭用テレビにつなげるだけで高齢者と介護者がビデオ通話できるビデオ通話システムを開発している。

活動の概要
家庭用テレビを用いたビデオ通話システムの実証実験の様子

期待される効果

ビデオ通話アプリとビデオ通話システムは2021年度中の製品化を目指す。これらが社会実装されれば、認知症高齢者のデジタルデバイドが軽減され、簡便に家族や介護専門職とコミュニケーションが可能になる。感染症・災害有事があっても、ビデオ通話により認知症高齢者の在宅生活を安定的・継続的に見守ることができる。また、ビデオ通話では子や孫の顔も見え、電話に比べてより親密なコミュニケーションが期待でき、孤立や孤独の解消につながる。

関連サイト

▶ 介護ロボットプラットフォーム 相談窓口のご案内(鹿児島県社会福祉協議会ホームページ内)