アジア・アフリカにおける口唇口蓋裂医療活動
大学院医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 口腔顎顔面外科学分野
中村典史/石畑清秀/岐部俊郎
活動の背景・目的
口唇口蓋裂は、唇や鼻、口蓋が裂けた状態で生まれてくる先天性の顔面形成異常で、すべての民族・人種で発生する。我が国では、口唇口蓋裂に対する専門的治療施設が多数存在し、専門医による抱括的医療が実践されている。しかし、アジア・アフリカの発展途上国では貧困などの経済的問題、医療環境の不備や専門医の不足等の理由から、多くの口唇口蓋裂患者が適切な手術を受けられず、障害に苦しむ未手術の患者が多く見られる。医療格差の解消に貢献するために、鹿児島大学病院口腔顎顔面外科の医療スタッフが海外医療ボランティア活動としてアジア・アフリカで口唇口蓋裂手術を行っている。さらに、技術移転や医療体制作りにも協力する。
活動の概要
アジアでは、2006年からべトナムやインドネシアにて医療活動を行ってきた。さらに、2010年からはアフリカのエチオピアにおいても医療活動を実施。医療僻地に出向いて患者の健康状態の評価、口唇裂・口蓋裂手術などを行う。また、現地医療スタッフへの技術移転にも取り組む。帰国後も現地の複数の大学との交流活動を継続的に行い、オンラインでの講義や症例検討等で次世代の医療を担う人材の育成を行っている。
期待される効果
ボランティア手術と技術移転、現地スタッフの教育を通じて、アジア・アフリカにおける医療格差の解消に寄与できると考えている。