ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)感染対策と関連疾患の治療開発
医学部 保健学科 看護学専攻 成育看護学 教授 根路銘安仁
鹿児島大学病院 産科・婦人科 教授 小林裕明
鹿児島大学病院 脳神経内科 教授 髙嶋 博
鹿児島大学病院 血液・膠原病内科 教授 石塚賢治
活動の背景・目的
鹿児島県は世界的に有数のヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)侵淫地域である。HTLV-1感染者は、ライフスタイルの変化によるもののほか、とくに本県においては全国に先駆けて1990年代から実施された母子感染対策によって確実に減少している。今後も母子感染対策を確実に継続することによって、22世紀にはこのウイルスを日本からほぼ廃絶させることが期待される。一方で、現在でも本邦に約80万人、世界に1000万人以上の感染者がいる。地域に根差した大学として母子感染対策を推進するとともに、代表的なHTLV-1関連疾患である成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)、HTLV-1関連脊髄症(HAM)の治療開発を行う。
活動の概要
HTLV-1母子感染対策については、妊婦健診で的確にHTLV-1感染者の同定を行い、正確な知識の共有と断乳等の指導をするとともに、社会に啓発し、誤った知識による偏見等を生まないようにする。
ATLやHAMに対する治療薬の探索的研究、全国規模の多施設共同臨床試験、医師主導治験を行い、新規治療の開発に努める。
期待される効果
HTLV-1感染者の減少と、ATLやHAMの治療成績改善に貢献する。