SDGsのためのポリティカルリテラシー、教養科目「大人になるための政治学」
総合教育機構 キャリア形成支援センター 准教授 藤村一郎
https://www.kagoshima-u.ac.jp/education/gakubu-kouengaiyou.html活動の背景・目的
「大人になるための政治学」という科目名は、まさに持続可能な発展を支える社会人を育成するためのポリティカル・リテラシー(政治に関することを正しく理解し、参加していく能力)を学ぶ場という意味である。ポリティカル・リテラシーは、高等教育において欠くべからざる基本的な教育であると同時に、昨今、導入が急がれている「課題解決」能力を育成するための教育として最適であろう。政治とは常に全ての社会的課題と対峙するもので、SDGsが掲げる17の目標を達成するために必要不可欠だからである。
活動の概要
授業は、従来型の一方通行の講義型ではない。テキストを事前に読み、全ての授業でテーマに沿って課題を設定し、グループディスカッションやクラスディスカッションを行っている。授業終了後もLMS(学習管理システム)の掲示板を用いてディスカッションを続ける。扱うテーマはSDGsの全ての目標に関連する事象が取り上げられる。財政民主主義(目標3、目標1、目標4)、ジェンダー平等(目標5)、地域生活と自治体(目標11)、総合的安全保障(目標16)、エネルギー政策(目標7)、グローバリゼーションと気候変動(目標13、目標17)、歴史認識と国際相互理解(目標16)、ボーダー研究(目標10)、デモクラシー(目標全体)、選挙(目標3)などである。テーマを個別に検討しつつPBL(課題解決型学習)を実施し、プレゼンテーションを全員が担当する。
期待される効果
この授業を通して、学生は自身の生活とSDGsの目標とを関連付けて考える。より主体的に人類的課題に向きあい、実践的な解決策を考案できるようになるだろう。上記学習は、前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力などを鍛錬することを伴う。単にポリティカル・リテラシーを向上させるだけでなく、将来、企業や自治体において活躍しうる実践力を育成できるであろう。卒業後にSDGsを達成するための有為の人材となることが期待される。