世界の食料問題と飢餓の現状、日本の食料安全保障とそこにおける水産業の持続性と有用性を大学や高校で教授し、「食」の観点から持続可能な社会を構築する
水産学部 水産経済学分野 水産流通学研究室
https://www.seafoodlabo.com/ sano@fish.kagoshima-u.ac.jp活動の背景・目的
食料危機が眼前に迫り、内閣府も食料自給率の向上を真剣に模索し始めた。しかし陸上の農畜産業では根本的解決が困難であり、持続性もない。他方、日本は広大な200海里と豊富な水産資源を有し、これを持続的に利用することで食料危機を乗り越えることが可能である。この事実を科学的根拠を持って社会に伝え、国民の意識と政策を変え、持続可能な社会を構築することが目的である。
活動の概要
現在世界人口の1割強が飢餓状態にあるが世界人口はさらに増加することが確実であり、このままでは深刻な食料不足が避けられない。他方、国際情勢が不安定化しており、日本も食料輸入が困難化しつつある。日本の食料自給率は現状でも肥料や種子の輸入を考慮すればロリーベースで僅か10%程度であり、今後輸入がストップすることがあれば日本でも容易に飢餓が発生する。農畜産業は本質的に環境破壊的であり今後の増産も持続性も確保できないが、水産業は本来的に環境調和的であり低コストで大量の食料を自給可能である。島国日本の食料安全保障上死活的に重要な水産業を見直し、これを存続させるための方策を4つの大学での複数の講義や県内外の複数の高校における出前授業を通して広く伝えている。
期待される効果
食料問題の観点から水産業に対する供給者と消費者の意識を変え、国産水産物の消費拡大や漁業存続を実現することで、「食」の面から持続可能な社会を構築する。